よくある誤解
誤解 1誤り
「でも、カードカウンティングって違法じゃないの?」
多くのカードカウンターと同じく、私もこの質問を何年も聞かされてきました。答えは「違法ではない」です。ニュージャージー州では、カードカウンティングを理由にプレイヤーをゲームから締め出すこと自体が違法だとする判決まで出ています。つまりカードカウンティングは合法であるだけでなく、状況によっては法律で守られているのです。
誤解 2一部は正しい
「カジノに追い出されたら、どのカジノにも知れ渡る」
この誤解には一理あります。カードカウンティングがばれれば、カジノはテーブルを離れるよう求めてきます。ただ、多くのカジノは単に勝っているというだけで退席を求めますし、一般に思われているのとは違って、ほとんどの州ではそれがカジノの権利です。カジノで働いていた数年間で、私はそういう場面を何度も目にしてきました。
カジノ同士は確かに情報を交換しますが、その店で以前に追い出されたことがない限り、記憶はあまり長く続きません。近隣のカジノは、週末までにはあなたのことをすっかり忘れています。
頭の中でカードを数えること
ディーラーがテーブル全員に見せるカードを覚えておくことを犯罪とする州は、アメリカに一つもありません。
ニュージャージー州
アトランティックシティのカジノは、カードカウンティングを理由にあなたを締め出すことができません。認可されたゲームのルールを定められるのは州のカジノ管理委員会だけで、同委員会がカウンターを排除したことは一度もありません。
Uston v. Resorts International Hotel(ニュージャージー州最高裁判所、1982年)
代わりに数えてくれる装置
ネバダ州では、カードを記録する装置を使うこと、または使う目的で持ち込むことが犯罪です。スマホのアプリでも、隠したコンピューターでも同じ。使ってよいのは自分の頭だけです。
ネバダ州改正法(NRS)465.075
カウンティングは技術であって、装置ではありません。法律が線を引くのは、自分の記憶を使うか、機械を使うかです。
カウンティングでわかること
カードカウンティングは、ハイカードとローカードの比率を追いかける、シンプルで覚えやすい方法です。その比率を見れば、ベットを上げるべきとき、16でヒットするかスタンドするか、インシュランスを取るべきかどうかがわかります。手札ごとの最善のプレイを、根拠をもって判断できるようになるのです。
プレイの基準値は、Don Schlesingerの『Blackjack Attack』に掲載された Illustrious 18 のインデックスで、Wizard of Odds に転載されているものです。
カードカウンティングの本当の優位は、シューにハイカード(エースと10)が多く残っているときほど、ブラックジャックが多く配られることから生まれます。だからこそ、カウントが高いときにしっかり賭けることがとても重要なのです。
ただし、誤解しないでください。ディーラーがそのブラックジャックを引く確率は、テーブルのほかの誰とも変わりません。本当の優位は、私たちがブラックジャックを出すたびにディーラーは3対2で払わなければならないのに、ディーラーがブラックジャックを出したときには、私たちの賭け金と同じ額を取るだけ、という点にあります。
カウントが低いうちは小さく、上がるにつれて大きく賭けます。 カウンターの優位のほとんどはここから生まれます。
トゥルーカウントが0以上ならスタンド、それ未満ならヒットします。 ベーシックストラテジーだけならヒットです。
トゥルーカウントが+3以上のときだけ取ります。 それ未満では、残っている10が少なすぎて割に合いません。
両方がブラックジャックなら引き分け(プッシュ)です。最初の2枚でブラックジャックになる確率は、このページのために計算しました。+5のシューでは、余分なハイカードが10とエースに本来の4対1の比率で分かれていると仮定しています。
ハイローの値
カードカウンティングの概要と仕組みがざっとわかったところで、いよいよ数え方に入りましょう。まず、すべてのカードに値を割り当てます。
- +1
- 2、3、4、5、6。 これらがシューから出ていくほど、残りのカードに占めるハイカードの割合が高くなります。
- 0
- 7、8、9はニュートラル。 これらのカードは、私たちの勝ちやすさにもディーラーの勝ちやすさにも、ほとんど影響しません。
- −1
- 10、ジャック、クイーン、キング、エース。 これらが出るほど、私たちの優位は失われていきます。
ハイローはバランス型のカウントです。1デッキを全部数えるとゼロに戻るので、カウントがプラスなら、残りはローカードよりハイカードが多いということです。自分のカードだけでなく、ほかのプレイヤーのカードも含め、見えたカードはすべて数えましょう。
この値はどうやって決まったのでしょうか。「除去効果」、つまりシューから各ランクのカードが1枚抜けたときにプレイヤーの期待値がどれだけ動くかを見れば、パターンは一目瞭然です。各カードを取り除いたときの効果を測り、その結果を+1、0、−1に丸めただけなのです。
これから使うのは、映画『ラスベガスをぶっつぶせ』(原題『21』)などで有名になり、カジノのスタッフ自身も使っている方法、ハイローです。現在知られているシステムの中で、群を抜いて簡単で、最も研究し尽くされています。
ほかにも、Omega II、Hi-Opt I・II、Zen、ノックアウト(KO)、Wong Halvesなどのカウント法があります。ここではあまり深入りしませんが、除去効果をもっと正確に丸めたカウントはないのかと思った人には、Wong Halvesが面白いかもしれません。
1デッキ:ロー20枚 × +1 + ニュートラル12枚 × 0 + ハイ20枚 × −1 = 0
| カード | S17でスタンド | S17でヒット | 効果(S17) | ハイロー |
|---|---|---|---|---|
| 2 | +0.069% | +0.071% | +1 | |
| 3 | +0.082% | +0.086% | +1 | |
| 4 | +0.110% | +0.117% | +1 | |
| 5 | +0.141% | +0.143% | +1 | |
| 6 | +0.079% | +0.084% | +1 | |
| 7 | +0.041% | +0.038% | 0 | |
| 8 | −0.008% | −0.010% | 0 | |
| 9 | −0.040% | −0.045% | 0 | |
| 10 | −0.091% | −0.097% | −1 | |
| エース | −0.094% | −0.084% | −1 |
6デッキのシューから指定したランクのカードを1枚取り除いたときの、プレイヤーの期待値の変化(任意の2枚でダブル可、スプリット後のダブル可、スプリットは1回まで)。ローカードが出ていくと有利に、10とエースが出ていくと不利になります。ハイローはそれぞれの効果を+1、0、−1に丸めています。7と9はゼロに近いので無視できます。出典:Wizard of Odds(bjstrat.netの Composition Dependent Combinatorial Analyzer で算出)。
| システム | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | A | レベル | 除去効果との一致 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 除去効果 (10 = −1) | +0.76 | +0.90 | +1.21 | +1.55 | +0.87 | +0.45 | −0.09 | −0.44 | −1.00 | −1.03 | — | 1.00 |
| ハイロー このガイド | +1 | +1 | +1 | +1 | +1 | 0 | 0 | 0 | −1 | −1 | 1 | 0.96 |
| ノックアウト(KO) アンバランス型 | +1 | +1 | +1 | +1 | +1 | +1 | 0 | 0 | −1 | −1 | 1 | 0.96 |
| Hi-Opt I | 0 | +1 | +1 | +1 | +1 | 0 | 0 | 0 | −1 | 0 | 1 | 0.89 |
| Hi-Opt II | +1 | +1 | +2 | +2 | +1 | +1 | 0 | 0 | −2 | 0 | 2 | 0.92 |
| Omega II | +1 | +1 | +2 | +2 | +2 | +1 | 0 | −1 | −2 | 0 | 2 | 0.93 |
| Zen | +1 | +1 | +2 | +2 | +2 | +1 | 0 | 0 | −2 | −1 | 2 | 0.96 |
| Wong Halves | +0.5 | +1 | +1 | +1.5 | +1 | +0.5 | 0 | −0.5 | −1 | −1 | 3 | 0.99 |
「除去効果との一致」は各カウントのベッティング・コリレーション、つまり値が図5の除去効果(6デッキ、ディーラーはソフト17でスタンド、10は4倍の重み)にどれだけ沿っているかを示し、このページのために計算しました。ハイローは+1、0、−1だけで0.96に達します。Wong Halvesは0.5刻みで数えることで0.99に届きます。KOはアンバランス型(1デッキの合計が+4)で、そのおかげでトゥルーカウントへの換算が要りません。
ランニングカウント
シューの始まりでは、カウントは0から始まります。あとは見えたカードを順に数えていくだけです。
これでランニングカウントは+1です。いい方向に向かっていますが、これだけでは判断材料になりません。私たちがプレイするのは、たいてい2〜8デッキのシューだからです。複数のデッキによる「薄まり」を反映させた数字に換算する必要があります。そこで、ランニングカウントを「トゥルーカウント」に換算します。
カードは配られた順に数えます。あなたの1枚目、ディーラーのアップカード、あなたの2枚目の順です。ホールカードは表になった時点で数えます。
トゥルーカウント
トゥルーカウントは、ランニングカウントを残りのデッキ数で割るだけで求められます。たとえば6デッキのシューで残りが2デッキ、ランニングカウントが+4なら、+4を残りの2デッキで割って、トゥルーカウントは+2になります。
プロのカードカウンターにとって、トゥルーカウントはすべてです。トゥルーカウントの影響を理解することは、カウンティングそのものを完璧に身につけることに次いで重要です。
-
10に
対する TC 0以上オン16で スタンド -
ベットランプを
開始 TC +2.5以上オフ -
インシュランスを
取る TC +3以上オフ
6デッキのシューの例です。同じ+4でも、残り2デッキなら残り4デッキのときの2倍の意味があります。余分なハイカードが半分の枚数に詰まっているからです。数字を変えて、どのシグナルが点くか確かめてみてください。
カウントに合わせたプレイ
トゥルーカウントの出し方がわかったら、次はそれが何を教えてくれるかです。2デッキでも8デッキでも、一般的なブラックジャックでは、トゥルーカウント+2.5あたりで負けやすい状況から勝ちやすい状況へと切り替わります。ここから始めるのが「ベットランプ」、つまりベット額の上げ方です。
カウンターがベットランプを隠したりごまかしたりする方法はたくさんあります。勝った手のあとだけベットを上げる方法から、複数のハンドをプレイして大きなベットを小さな3つのベットに見せる方法までさまざまです。カジノで働いてきた経験から言えば、複数ハンドの方法は群を抜いて過大評価されていて、効果も最も薄い方法です。
私は、ベットは見抜かれやすい機械的で規則的な上げ方ではなく、ひとつのアートとして扱うのが一番だと考えています。
あくまで一例で、決まった処方ではありません。ユニットの大きさや最大ベットは、資金とテーブルの目がどれだけ厳しいか次第です。基準値より下では最低額を賭け、上ではカウントに合わせてベットを上げていきます。
ピットが見ているのはテーブルに置かれた金額で、それがいくつのサークルに分かれているかではありません。大きなベットを複数のハンドに分けても、見た目が変わるだけで、金額は変わりません。
機械的な上げ方
どのベットもカウントだけで決まっています。段差がはっきりしていて、線でなぞれてしまいます。
アートとしてのベット
勝ったあとに上げ、負けたあとに下げ、ときにはカウントとは関係ないベットも混ぜます。どんな一本の線にも当てはまりません。
イメージ図:点ひとつがベット1回で、そのベットをしたときのトゥルーカウントの位置に置いています。灰色の線は図9のベットランプです。